団地に住んでます(団地の映画も作ります)

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この度、映画「雨を告げる漂流団地」が2022年に公開することになりました。

企画してから、世間は大変な状況になったりで…随分時間が経ってしまったように感じますが、めげないように

変わらずスタジオコロリドにて監督させていただきます。

来年まで、どうぞ楽しみにしていただければ幸いです。

 

タイトルにもありのまま銘打っている「団地」について

何故団地なのか?という理由も含めて、純粋に面白い場所なので紹介させてください。

正直映画から話が逸れますが!

 

 

 目次

1:住みたいと思わせる緑豊かな敷地

2:65年生まれでも装いは今風

3:団地内にある憩いの場所

4:団地を愛する照井さんち

5:団地の映画作りについて

 

  

1:住みたいと思わせる緑豊かな敷地

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集合住宅が昔から憧れでした。

僕の実家は「泣き猫」の常滑のお隣。古い町でして、その家も80年を超える古い平屋でした(漁師町なので昔は漁師さんの宿屋になってたとか)。

そのせいもあってか、小学生の頃マンションに住む友達の家に遊びに行くと不思議と高揚感があったことを覚えています。

子供心にその整然とした立体感と秘密基地感を感じていたのかどうか…。

 

ここへ来て、団地の魅力を知りました。集合住宅としては祖にあたりますが、特に「日本住宅公団(現「UR」)」が戦後に大量に作った郊外の団地は今見ても見事です。

今となっては当たり前の水洗式トイレや浴室、玄関ドアのシリンダー錠、「2DK」「3LDK」といった数え方などを普及させたのもこの時です。

(厳密な祖というと、戦前の同潤会アパートとかもっと言って江戸時代の長屋とかの方か??)

 

計画的に空間のゆとりと緑の共存を意図して建てられているのも、今の時代にあって余計に魅力的です。

特に自分はこの緑の多さに惹かれて、団地に住み始めたところがあります。

それを伝える写真を幾つか。

 

f:id:Tete:20210426110911j:plain「歩車分離」という考え方で、団地内は歩行者と車の通り道を分けています。それによって散歩がしやすく、敷地内に緑道がたくさんあります。

f:id:Tete:20210426111013j:plain棟同士の間の空間にはこういった球技もできる公園が幾つもあって、これも今の時代にあっておおらかな雰囲気で、子供たちに自由に遊ばせてあげるゆとりがあります。

 

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団地内にはそれぞれ幼稚園と小学校があり、一つの街としてのスモールワールド感があります。子育て世代には助かること受け合いです。

 

また、ベランダの下に海のように広がる緑も惹かれます。棟によっては四方を木々に囲われて、春の季節には秘密の花園感もあって素敵です。

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f:id:Tete:20210716115451j:plainこの簡潔で綺麗な白の建物を緑が覆っている様が好きで…

 

申し遅れましたが(笑)、この団地は調布にある「神代団地」という団地です。

この団地にかれこれ二年は住んでいます。

 

 

2:65年生まれでも装いは今風

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「神代団地」は1965年生まれの56才です。

高田純次さんが子育て時代をここで過ごしたり、「ウルトラマン」や「団地妻 昼下がりの情事」wwなどのロケ地で使われたこともあるくらい年季は入っています。

ですが鉄筋コンクリート製の躯体そのものは未だ耐震強度は十分らしく、中身はリノベですっかりキレイに今風になっていました。部屋も足されてたりでなかなかに広いです。

 

自分は「ペンギン・ハイウェイ」の後に結婚し、ここに引っ越してきました。仕事で絶え間なく忙しいので、部屋をいじっているのは全て妻です。壁や鴨居に木が足されているのがそれですが、素の状態でも十分良い部屋でした。

吉岡里穂さんが出てるURのCMの通り、礼金、仲介手数料、更新料が無しというのもやはり決め手の一つになっています。

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そしてこれが自分の仕事場にもらった部屋です。ちょどいい凹みがあったので、昇降式デスクを押し込んで、PCと液晶タブレットで日々仕事に明け暮れています。

ここから雨の日も風の日も外を眺めて過ごしていると、まるで団地に乗って漂流でもしているような気分でした…。

(しかし幾ら団地が好きでも、ずっと漂流していたら寂しくなるのでww会社と使い分けながら仕事していました)

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モニターの上におられるのは自分と同い年の守護神、アムロとシャアの

 

 

3:団地内にある憩いの場所

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団地は当時、最先端の住まいとして人気があったようで、今でいうタワマンのような位置付けだったとも聞きます。

当時入居された方は今も住まわれていますが、2010年以降に団地が再び人気となっていって、若い夫婦がたくさん引っ越してきたようです。

ちょうど住民の半分が若い世代になったと聞きます。それと共に団地にも若返りが起こっています。

 

団地の中央に広々とした公園があって、学校終わりや休日にはたくさんの若い夫婦や子供がひしめいています。それがなんとも賑やかなことで…。

そこにある「手紙舎」というカフェがまたなんともお洒落で、外からもこれ目当てに人が団地に集まります。緑豊かな空間と相まって、団地以前に一つの大きな公園にあるカフェに遊びに来るくらいの感覚で来てくださってるのかもしれません。

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その隣にある「山本牛乳店」も見逃せません。これまたお洒落な甘いものとコーヒーをよくご馳走になってます。

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自分が思う憩いの要素は自然にもあって、団地を横断する野川では「カワセミ」に高確率で会えたりします。新宿から15分程の立地でこういう鳥に出会えるのはすごい。

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f:id:Tete:20210925134224j:plain 川には他にも様々な鳥が集まってきて、レギュラーで泳いでるのがカルガモですね。グワグワ言ってるのを散歩中に眺めるのが日課です(笑)

季節によっては親子でいる時も見かけます。

 

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そして団地内には猫もよくいますね。一階の通気口の中に隠れてたり、ベランダ下の隙間でよくくつろいでいます。ずっと気になっていたいつも見かけるペンギンみたいな猫にこの前ご対面できました。太々しさMAXでしたが(笑)

 

 

4:団地を愛する照井さんち

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この団地に引っ越してくるきっかけの一つになったのが、団地愛好家として知られる「照井啓太」さんがこの団地に住まわれていたことです。そしてこの団地の暮らしをTwitterなどで発信されていたのを見て、いいなと感じました。

最初は団地の企画を立てたからにはロケハンしたい、でも住むのが最大のロケハンだろう!と愚直になって住もうと考えたところがありますが、今は映画とは無関係に純粋に団地生活を楽しんでいます(し、冒頭でも話した通りこの映画を作らなくてもいつかは住んでいたかもしれません)。

照井さんには団地を描く上での博識すぎる知識(!)をご教授いただいたり、そもそも団地で生活する上での豆知識と家族ぐるみでのお付き合いをさせていただいております。演出や美術スタッフとの大団地へロケハンに行った際も、ガイドをしていただいたりもしました。

自分が言うよりも雄弁に団地の魅力を語られているので、よろしければ公式サイトや書籍などでご覧になってみてください。

 

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こんなプラモもいただきもしました。会社で皆の指針にもしています。

今も同じ団地で、この映画と共に見守ってくださっており、それにお応えできるよう頑張るのみです!ありがとうございます

 

 

5:団地の映画作りについて

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団地の簡潔で無駄がそぎ落とされた「無印良品」みたいな建物を見ていると、それが海を航海していたら面白いなと、単純にそう思って始めた映画です。

タイトルにもある「雨を告げる(Pの山本さんにつけていただきました、ありがとうございます!)」にもなぞらえて、僕は雨の団地も好きです。

雨にけぶる団地、水面に映る団地、一面の緑に浮かぶ団地。

まるで水の上に浮かんでいるようで神秘的です。自分だけの変な楽しみ方ですが。

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もし興味が湧いたなら、是非団地内を歩いてみてください。

そこに込められたまち作りの意図、今の時代にあって見直されるべき美点、そして僕のような個人的な楽しみ方もできるかもしれません。

(今も住まわれている住民がいますので必ずご迷惑にならない範疇で、ですが汗)

 

住むことが最大のロケハンとは言ったものの、他にも団地はたくさんあって見て回りました。皆素敵な場所でした。例えば…

公団常盤平団地(ガイドありで行ったのはここですね、緑が素敵でした)

赤羽台団地

公団百草団地

多摩川住宅(神代団地の近くで、ウルトラマンにやたら出てきたロケ地ですね)

 

先にお伝えしていたことと同じで、この題材はアニメ映画としてどうものになるかは正直分かりません。

それでもこれに賭けて、皆で頑張っています。

大変な状況ではありますが、それでも一緒に作り上げてくれる方々に、改めてお礼を。

 

2022年に再びお会いできるように。

 

 

 

 

ps.

写真は全て愛機となっているSIGMA fp Lとfpで撮影しています。